『アビダンマッタサンガハ』を語ろう
スマナサーラ長老と藤本晃さん
今回の社長ブログは 2017年9月8日の社長ブログ 「『ブッダの実践心理学』を想う」の続編である。
『ブッダの実践心理学』の制作は、 スマナサーラ長老のアビダンマ講義の音声から、 まず、当時のテーラワーダ仏教協会の有志の人たちが何人もテープ起こしをしてくれて、それを基に藤本晃さん下原稿を纏めてくれたところから始まった。
『ブッダの実践心理学』は スマナサーラ長老がみんなの前で行った説法で、 アビダンマを解説したものが元になっている。
藤本晃さんの下原稿を スマナサーラ長老に確認してもらい、 加筆修正していくスタイルで、 編集作業が進んでいった。
僕は前から藤本晃さんの名前は知っていたが、 『ブッダの実践心理学』を作り始めるとき、 スマナサーラ長老は 「藤本晃さんと一緒に、この本をつくる」という。 「藤本晃さんと竜子さん(藤本先生の奥様)は とっても心がきれいな仏教徒なんです」と スマナサーラ長老は言われた。
そのとき、僕ははじめて 藤本晃さんを明確に意識したと思う。
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共著『ブッダの実践心理学』誕生の瞬間
作業を進めていくと、藤本さんは、 「僕の下原稿も、 スマナサーラ長老は、ほとんどその内容を書き換えてしまうので、 僕なんかは何もしていないのと同じなんですよ」 と言っていた。
そうは言っても、藤本先生は校正作業にも 熱心に最後まで携わってくれた。 当時は校正ゲラやりとりを、ファックスでしていたので、 一度なんかは、もう山のように赤字の用紙が、 ファックスから溢れ出てきたこともあった。
そうして 『ブッダの実践心理学 第一巻 物質の分析』 は完成していくのだが、 スマナサーラ長老は「この本は共著にしなさい」と言われた。 もちろん、共著者は藤本晃さんだ。
『『アビダンマッタサンガハ』を読む』という名著
『ブッダの実践心理学』全八巻の内容を、 ダイジェスト的に一冊にまとめた 藤本晃さんの著書に 『『アビダンマッタサンガハ』を読む』がある。
その序文にスマナサーラ長老はこう書いている。
アヌルッダ長老は、必要な基礎知識を見事な腕前で脳に叩きこんでくれるのです。この大長老が書かれた傑作が3つあります。①abhidhammatthasaṅghaha、②nāmarūpapariccheda、③paramatthavinicchayaです。他の大長老たちが書かれたテキストも6つあります。この9つのテキストは、アビダンマを理解したいと思う学生たちがまず学ぶものです。再び注意しますが、これらのテキストは自習するものではなく、授業中に参考にするテキストです。
いわば、『アビダンマッタサンガハ』は独自に読むものではなく、 あくまで先生に付いて、先生の講義を聴くスタイルである。
世界で最も美しいといわれる方程式「E = mc2」について、 齋藤孝の『読書する人だけがたどり着ける場所』(SB新書)の97ページに、 こんなことが書いてある。
『E = mc2』(デイヴィッド・ポダニス/著 早川文庫)という本があります。この本の冒頭には、ある映画雑誌に掲載されたキャメロン・ディアスのインタビューの中で、何かしりたいことがあるかと尋ねられた彼女が「E = mc2がいったい何を意味するのか知りたい」と答えていたという話が紹介されていました。インタビュアーとディアスは笑い会いますが、記事はディアスの「本気よ」という言葉で締めくくられていたとのこと。
この「E = mc2」を 「生きる」に書き換えたら、こうなる。
「生きるがいったい何を意味するのが知りたい」 ディアスは「本気よ」と答えた。
膨大で難解なアビダンマを 理解するうえで欠かせないのは、 分かりやすい方程式だと思う。
それを誰にでもわかるようにするために書かれた 『アビダンマッタサンガハ』は、 その方程式にあたると思う。
『『アビダンマッタサンガハ』を読む』の帯には スマナサーラ長老の言葉が掲載されている。
藤本博士は 『アビダンマッタサンガハ』をテキストにして、 ここで皆さまに本という形式で 分かりやすく丁寧に授業をしているのです。 この本を読むことで、 皆さまも「アビダンマは先生から学ぶ」 という昔からの伝統に従い、 アビダンマの基礎概念と分析方法を 簡単に理解できると思います。 初期仏教長老 アルボムッレ・スマナサーラ
藤本晃さんの『『アビダンマッタサンガハ』を読む』は、 本当に分かりやすく、 『ブッダの実践心理学』全八巻と同様、 日本の仏教界に確実に影響を与える一冊だ。
サンガからのお知らせ
藤本晃先生出演が、上京し、サンガくらぶに出演します。
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