大乗仏教と上座部仏教の比較対応表
文:佐藤哲朗
① 本尊
上座部仏教:釈迦牟尼如来
大乗仏教:諸如来(釈迦・阿弥陀・薬師・大日ほか)諸菩薩(観音・地蔵ほか)
②釈尊の位置づけ
上座部仏教:三千大千世界における現劫の(唯一の)仏陀
大乗仏教:諸世界に偏在する仏陀の一人
③依拠する経典
上座部仏教:パーリ経典(初期経典)
大乗仏教:大乗経典、祖師の語録等
④教理の特徴
上座部仏教:輪廻からの解脱、自利利他
大乗仏教:輪廻に留まり衆生を救済、絶対利他
⑤僧侶の資格
上座部仏教:比丘戒(比丘尼戒)
大乗仏教:比丘戒(比丘尼戒)&大乗菩薩戒 ※日本天台宗の影響下にある宗派は在家・出家に共通の大乗菩薩戒のみ。
⑥戒律の内容(僧侶)
上座部仏教:二二七戒
大乗仏教:二五〇戒(四分律)&五十八戒(大乗菩薩戒)
⑦悟りの定義
上座部仏教:無常・苦・無我(三相)という「自己の真実」に目覚める
大乗仏教:仏性・如来蔵など本来清浄たる「真実の自己」に目覚める
⑧悟りのプロセス
上座部仏教:段階的に進む(四沙門果)
大乗仏教:五十二位説などの段階論(漸悟)と無段階論(頓悟)が並存
⑨布施の対応
上座部仏教:他者を供養・利益する心と実行可能性を重視(具体的、現実的)
大乗仏教:施者・受者・施物の無執着(三輪清浄の布施)と捨身など極端な布施を賞賛(抽象的、非現実的)
⑨在家との関わり
上座部仏教:出家サンガは世俗に対して自律性を保つ
大乗仏教:出家と在家の区別が曖昧(特に日本)
⑩女性に対する姿勢
上座部仏教:悟りの境地に男女差はない(比丘尼サンガは滅亡)
大乗仏教:女性は成仏できない(比丘尼サンガは現存)
⑪伝播した(主な)国々
上座部仏教:スリランカ、タイ、ミャンマー、カンボジア、ラオス
大乗仏教:チベット、ベトナム、中国、朝鮮、日本
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